ベンチャーが入居する中小機構・和光理研インキュベーションプラザ(埼玉県)に今春、一風変わった企業が加わった。紫外線(UV)カット製品ブランド「エポカル」を展開するピーカブーだ。酸化チタンを練り込んだ繊維を使った衣服や帽子などを手がけている▼代表取締役を務める松成紀公子さんは「アパレルと呼ばれるのは嫌い。あえて言うならファンクショナルウエアかな」と、あくまでも機能性にこだわっている。社内にUV測定器を導入してエビデンスの構築に取り組む予定▼約20年前、1歳だった長男がアトピーと診断されて、皮膚科の医師から紫外線対策をするようにと言われたのが起業のきっかけ。UVカット素材を見つけて、アウターを作るために会社を立ち上げた。その後、理研の研究者にUVカットウエアの耐洗濯性の検査を依頼した縁で同プラザの入居にいたった▼日光に当たると皮膚がんになりやすい色素性乾皮症という難病の子供向けに防護服の開発にも挑戦している。患者の会に参加し母親たちの努力に心を動かされた。「運動会に出してあげる」のが目標▼会社のスタッフは全員、子供がいる女性。とにかく快活な話ぶりで、海外展開など夢をいくつか語ってくれた。その前向きな姿勢をみていると、いつか実現できるのではないかという気がしてくる。(20・11・20)

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