今日は立春から数えて88日目にあたる八十八夜。春が終わりを告げ、初夏に変わる雑節の1つで、新茶が出回るシーズンでもある。新茶には高級な緑茶に多く含まれる旨味成分のテアニンが、二番茶以降に比べ数倍含まれるといわれている。テアニンは脳波α波を増加させたり、自律神経を整えたりするリラックス効果があるという▼風薫る5月。萌える若葉に清々しい爽やかな風と、好天を連想しがちだが、古来、八十八夜の別れ霜や卯の花くたし、近年でもメイストームと天候不順を表す言葉が少なくない。実際、先週は暴風雨とまではいかないものの、かなり強い風をともなう愚図ついた日があった。このゴールデンウィークも、場所によっては天気の急変などに要注意である▼好天続きとはいかないのは、世界情勢も同様のようだ。ミャンマーの軍事政権による弾圧、ロシアによるウクライナ侵攻と一向に争いはなくならない。これらの国では、愚図ついた天気どころではなく暴風雨に発展し、多くの命が踏みにじられている。指導者には、緑茶を飲ませて「落ち着け」と諭したい▼地球や人類の存続が危ぶまれているにもかかわらずである。沈没しかかっている船で、座席を独り占めしようとするようなものだ。力によって現状変更したところで、長続きするはずはない。(22・5・2)

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