浜松医科大学は、卓上電子顕微鏡を用いた新型コロナウイルスの高感度抗原検査法を確立したと発表した。体外診断用医薬品の研究開発を手がけるタウンズ(静岡県伊豆の国市)と共同研究を実施。市販の抗原検査キットを用いて、短い検査時間でPCRに匹敵する高感度の結果を引き出せることを実証した。今後、早期実用化を目指すとともに、他の疾患への応用も進めていく予定。

 検体を溶液で保護して検査する「ナノスーツ法」を用いた電子顕微鏡診断の精度の実証が狙い。タウンズのほか、浜松市や日立社会情報サービスなどの協力を得て浜松医科大で実験を行った。研究成果は15日、国際学術誌「バイオメディシンズ」オンライン版に掲載された。

 感染の疑いがある45人の患者から88検体を採取し、今回の手法と、現行の抗原検査で用いられる肉眼診断、RT-PCR診断法の精度をそれぞれ比較した。その結果、電子顕微鏡診断では、肉眼診断と比べて最高で500~1000倍程度の大幅な感度の向上を確認。理論上、抗原検査の最高感度で、PCR検査ともほぼ同等精度となることが実証された。

 PCR検査は現状の抗原検査に比べて精度が高く、世界中で優先されている。しかし検査に時間を要するうえ、コストもかかり、社会的・経済的な負担が大きいことが課題となっている。日本でも検査の目詰まりが大きな課題となっている。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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