今年は早々に梅雨明けしたこともあるのか、焼け付くような暑さが続いている。外を少し歩くだけで汗が噴き出す。ハンカチで拭っても拭っても終わりがない。先日、弊紙の若手カメラマンが奇妙な物体を両肩に掛けていた。両肩から風が出る扇風機で、お世辞にも格好良いとはいえない。しかし重たい撮影機材を酷暑のなか担ぎ歩かなければならないので、外見など構っていられないのだろう▼新しいアイテムがどんどん登場する一方で、フェードアウトしていくアイテムも少なくない。喫煙者ではなくとも一度は目にしたことがあるであろう紙製マッチの国内生産が先日終了したという。一昔前まで喫茶店やナイトクラブには、店名の書かれた紙製マッチが置いてあったものだが、喫煙人口の減少や電子たばこの普及などで需要が減少した▼日本のマッチの生産量はピークだった50年前に比べ100分の1に減っている。8月に入り、公園などでは花火で遊ぶ子供らを見かけることが増えるだろうが、マッチの使い方を知らない子供も多いという。喫煙者すらマッチを使っている人をほとんど見かけなくなった▼仮にマッチが世の中からなくなったとしても、大晦日の寒空の夜、小さな少女がマッチを売ろうとしながら凍え死んでしまう悲しい童話の本質は語り継いでほしい。(22・8・1)

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