渋沢栄一を主人公とする大河ドラマ「青天を衝け」が面白い、いや、おかしろい。幕末から明治時代を描いた大河ドラマはこれまで不人気が多く鬼門とされてきたようだが、定説を覆し、歴史好きにとどまらず多くの視聴者を魅了している▼激動の時代の流れに翻弄されながらも、前を向いて突き進む生き様を見ていると、胸がスカッとする。歩む道は困難の連続だが「おかしれぇ。やってやんべぇ」と軽やかにぶち当たっていく姿は、涙が出るほど躍動的だ。心の中心には常に「国のため、皆のため」があった。ちょうど90年前の今月11日に永眠するまで、約1000もの銀行や会社の設立・経営に携わった▼日本の資本主義の父とされ、3年後に一新される新1万円札の図柄に決まっている。聖徳太子から現在の福沢諭吉に変わったのが84年だから、実に40年ぶり。最新のホログラムなど世界初の偽造防止技術も施される計画で、手にするのが楽しみだ▼設立や経営に携わった会社には、多くの化学企業も含まれ、現在まで隆々と事業を展開している会社も少なくない。現代は気候変動、国際分断、DXなど様々な課題が山積し、江戸から明治を上回る大変化の時代にある。化学産業の社会課題解決力に期待が集まる。おかしれぇ、やってやんべぇの心意気でぶち当たろうではないか。(21・11・8)

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