最近行く機会が減った書店を覗くと、いつの間にか来年の手帳が所狭しと積まれている。まだ秋になったばかりと思っていたので、急に年の瀬気分だ。9月から10月にかけて次の年の手帳が店頭に並ぶそう。パソコンやスマートフォンの普及でスケジュール管理もデジタル化が当たり前の人は多いが、筆者を含めて根強い人気がある▼もともと英国で誕生した手帳が日本にもたらされたのは、欧州使節団の一行に加わった福沢諭吉がパリで購入して持ち帰った「西航手帳」がルーツだといわれる。その後、日本人の几帳面さからかスケジュール管理に当たり前のように活用され、独自の進化をみせたのだ▼その手帳も今年は、緊急事態宣言が出された辺りから真っ白という人も多いだろう。社外ともリモートでやり取りできる環境が整い、徐々に余白も埋まった。リモートだと移動の時間を考慮しなくて済むのだが、通信環境を前もってチェックしたり、早めに待機するなど、手帳に記すまでもない時間配分を頭に入れておく必要がある▼今年も後2カ月余り。その間には今後の世界経済に大きな影響を与える米大統領選も控えている。気は早いが、例年通り年末年始に向けた業務をこなしつつ思いにふける。来年の手帳は空白が目立たないことを祈りながらまた週末あたり品定めに行こうか。(20・10・22)

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