無水フッ酸の国際市況が上昇している。実需不振のなか主産地の中国で昨秋から減産が継続したため年初から底を這っていたが、新型肺炎の流行で物流が滞り供給が一段と締まったようだ。原料不足で操業停止を余儀なくされ、高値で取引するケースも出ているもよう。新型肺炎の沈静化見通しが立たず、国内外需要家が供給不安から中国品を買い増す動きもみられるなど、市況は続伸する公算が大きくなっている。
 無水フッ酸は昨年、冷媒向けの需要が低迷したほか、米中貿易摩擦の影響で他のフッ素化学品向けも需要不振となった。供給過剰により、中国品輸出価格は年初の1トン当たり2300ドルから秋口に4割近く下落。その後、中国の主要各社が採算悪化を理由に生産を半減した。
 今年に入っても冷媒などの実需不振から1500ドル台前半で底値を這っていたが、ここにきて反転上昇。新型肺炎の影響で移動制限が各地で実施され、物流機能がストップし始めた。無水フッ酸は危険物指定となっていることもあって「中国国内で運送の滞りが出ている」(市場関係者)。
 旧正月明けから市況にも反映され、足元は1700ドル前後。一部地域では原料蛍石の供給が消失し、旧正月明けの操業再開を断念した企業も出ているようで「1800ドル台で取引されるケースもある」(同)。

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