値上げの動きが止まらない。原油をはじめとした原材料の高騰、新型コロナ感染拡大による消費減退とサプライチェーンの混乱、それにロシア経済制裁にともなうエネルギー価格の上昇。何重苦ともいえる要因が襲いかかる。本紙でも関連する記事をほぼ毎日目にする▼その波は食品や交通手段など生活に直結するものに及び、何十年ぶりという値上げが相次ぐ。大手コンビニのローソンは発売以来36年間で初めて看板商品の「からあげクン」を、近畿日本鉄道は消費税増税にともなう改定を除き約27年ぶりに運賃を引き上げる▼こういうところにも影響が出ている。日南海岸沿いにある鵜戸神宮で、岩のくぼみを目掛けて投げる名物の運玉が38年ぶりに値上げされ、値段は2倍になるという。コロナにより入場者数が減ったほか、運玉製作者の減少が響き苦渋の選択を強いられた▼これらは世界的な流れで、歴史的な高インフレ懸念も指摘されている。克服に向け各国による効果的な政策が期待される。日本はもともと物価上昇率が低いが、コロナ禍からの経済社会活動の順調な回復を妨げることになりかねない▼ガソリン対策などの補助では一時的な効果しか見込めない。この何重苦が少しずつ過ぎていくのを静かに見守るしかないのだろうか。高いお金を払ってでも運試ししたくなる。(22・4・20)

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