<東京・新宿にPCR受託施設、検査拡充へ日本をリード>

 プレシジョン・システム・サイエンス(PSS)は、PCR検査の受託事業を行う施設「PSS新宿ラボラトリー」を10月に設立した。正確かつ高精度なPCR検査を「いつでもどこでも誰でも受けることができる体制」を構築する「全自動PCR検査日本モデル」の実証を行うほか、自社装置の展示も兼ねた施設として運営する。2022年1月1日に本格稼働し、1日500検体程度の処理を目指す。開設の狙いや同社が目指すPCR検査の未来について、田島秀二社長に聞いた。

◆…設立したPSS新宿ラボはどのような役割を果たしますか。
 「これだけの遺伝子検査システムを配備しているのは日本でもなかなかない。圧倒的なキャパシティーを持っている。検査事業としては『toB』の受託検査を行っていく。モデルルームとしては、実際の装置をラボで見てもらい、機器導入への足がけにしてもらう」

◆…新型コロナウイルス感染症流行後、PCR検査が早期に拡充した欧米と日本では、どのような点が異なっていましたか。
 「認識が大きく異なっていた。日本は新型コロナウイルス感染症流行以前、遺伝子検査をほとんどやっていなかった。一方、欧米では、流行以前から遺伝子検査が広く普及していたので、はじめからPCRという選択肢があった」
 「今では、日本でも遺伝子検査への認識が大きく変わった。真価が問われるのは、この後だ。ヒトパピローマウイルス(HPV)、ノロウイルス、ロタウイルスなど遺伝子検査の拡充が進んでいくかどうか」

◆…アフターコロナで、PCR検査をどう生かしていきますか。
 「体内遺伝子を狙っている。がんの遺伝子は分かっているので、コンピューター断層撮影(CT)検査で写らない、2・5ミリメートル以下の微小ながんの早期診断にPCRでチャレンジしていきたい。磁性体のコントロール次第では、可能だと考えている。課題は、臨床のデータをどう得るかだ。すでにサンプルを持っている医療機関との結びつきや、大学病院との共同研究が必要となる。PSSの技術で独自の遺伝子検査の実現を目指していく」

◆…今後、どのようにPCR事業を推し進めていきますか。
 「海外企業とPCRに使う試薬の原薬供給について契約を結んだ。PSSがPCR事業の中で唯一手がけていなかったところであり、この契約により、自社で最初から最後まで一貫して進めることができるようになった。固有技術である磁石を用いたふるい分け『マグトレーション』を生かし、PSSの全自動遺伝子検査システム『ジーンリード』でなければ実現できないものを作り上げていく」(聞き手=橋本隼太)

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

インタビューの最新記事もっと見る