田辺三菱製薬は、カナダのワクチン事業子会社メディカゴが開発している新型コロナウイルスワクチンについて、日本でも臨床開発を始める。150人規模の国内治験を今月開始し、日本人での安全性や免疫反応を確認する。海外で行っている2万4000万人規模の大規模治験データと併せて来年3月までに日本で申請する予定。

 メディカゴが海外で開発中のコロナワクチン「MT-2766」を日本でも製品化することを決めた。植物栽培で有効成分を製造するワクチン。治験登録情報によると、20歳以上の日本人を対象とする国内第1/2相臨床試験(P1/2)を実施する。目標症例数は145例で、2日から症例登録を始める。他社製コロナワクチンの接種歴がある人やコロナ感染歴がある人は対象外。3週間隔で2回接種し、安全性と免疫原性をプラセボ群と比較する。英グラクソ・スミスクライン(GSK)が提供する免疫増強剤(アジュバント)と一緒に接種する。

 海外ではP2/3が最終段階に進んでいる。北米や英国などで約2万4000人を登録し、発症予防効果などの有効性も検証。当初は7月頃に中間データが出て、7~9月期にも緊急使用許可などを各国で申請する見通しを示していた。だが先行する他社ワクチンによる接種が進んで症例が集まりにくくなり、進捗が遅れている。P2段階の中間データでは中和抗体価がコロナ回復者の10倍に増えることを確認している。

 日本では、国内P1/2と海外P2/3のデータを併せて来年3月までに承認申請する見込み。3回目のブースター接種としての開発方針などは明らかにしていない。

 メディカゴのコロナワクチンは、ウイルスの殻のみを模倣したウイルス様粒子(VLP)を投与するワクチン。たばこ系の植物を栽培しながらVLPを大量生産する製造法で、成功すれば世界初の植物由来VLPワクチンになる。北米2カ所で工場を拡張し、2024年頃に年産10億回分の製造能力になる予定。今年は8000万回分以上の供給能力を目指し、カナダでは最大7600万回分を今年から供給する契約を政府と締結している。

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