田辺三菱製薬が新型コロナウイルスのワクチン開発に乗り出した。同ウイルスの遺伝子情報を基にウイルス様粒子(VLP)の作製に成功。ウイルスと似た構造のVLPを接種すれば体内で抗体が作られ感染を防御できる。カナダで2020年8月までに臨床試験を開始し、21年に試験を終え、申請を目指す。各国の規制当局とも相談し、カナダ以外でも実用化の機会を探るようだ。
 田辺三菱が13年に買収したカナダのベンチャー、メディカゴ(ケベック市)がワクチン開発を手掛ける。同社は植物(たばこの葉)に遺伝子を導入してVLPを作製する技術を持ち、開発中のインフルエンザワクチンは商業化目前にある。今回、新型コロナの遺伝子情報を取得してからわずか20日間でVLPの作製に成功した。
 VLPは副反応のリスクが低く、感染防御に優れる。VLPはウイルスと同じ構造をしているが、ウイルスのように増殖するための遺伝子情報を持たず増殖しない。ヒトに投与するとVLPをウイルスと認識して抗体が作られ、感染を防げる。VLPは1カ月程度で量産できる利点もある。
 メディカゴは新型コロナワクチンの非臨床試験で有効性と安全性を確認したうえで、8月までに臨床試験に進める方針。ワクチン以外にも新型コロナウイルスに対する抗体をラヴァル大学感染症研究センターと協力して研究中で、治療薬の実用化も目指すという。

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