田辺三菱製薬のカナダ子会社メディカゴと英グラクソ・スミスクライン(GSK)は、新型コロナウイルスワクチンの開発で提携すると発表した。メディカゴの植物由来ワクチン技術と、ワクチンの効果を高めるGSKのアジュバント(免疫増強剤)を組み合わせ、新型コロナワクチンの早期実用化を図る。今月中旬に最初の臨床試験を海外で始める予定。来年上半期の実用化を目指す。新型コロナ以外のワクチン開発でも、GSKのアジュバント技術の活用を検討する。

 メディカゴは、植物由来のウイルス様粒子(VLP)を使った新型コロナワクチンを開発している。このワクチンに、GSKのアジュバントを加えて開発を進めていくことでGSKと提携を結んだ。今月中旬にも海外で第1相臨床試験を開始する。目標症例数は約180例。21日間隔で2回接種し、安全性と免疫原性を評価する。GSK以外のアジュバント1種も開発を検討しており、どちらのアジュバントが最適か臨床試験で検証する。米国の治験データベースによると、試験期間は9月12日まで。

 両社は、臨床試験が順調に進んで薬事当局に認められれば、来年上半期にも実用化できると見込む。メディカゴは当初、開発が来年11月までかかる見通しを示していたが、前倒しが可能になった。

 GSKのアジュバントを使った場合、来年末までに1億接種分を供給できるという。また、加ケベックで建設中の量産設備が完成すれば、23年には年産10億接種分の供給が可能になる予定。

 両社は新型コロナ以外の感染症に対するワクチン開発でも、アジュバントの活用を検討する。メディカゴは今年4月、第3相試験まで進んでいた季節性インフルエンザワクチンの開発を見直し、アジュバントを加えて再開発する方針を明らかにしていた。

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