「未来の乗り物」と称された立ち乗り電動二輪車「セグウェイ」が今月、生産終了になるという。米国の発明家らによって開発され、約20年前の発売前にはスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツらIT界の著名人達が絶賛していたことが記憶に残る▼ただ、あまりにも高価で、警察や観光産業などの一部が採用するのに限られた。ガソリンを使わないクリーンエネルギーで環境に優しいと評価される一方、肥満が社会問題化している米国では、高価な買い物ができる人々は健康維持のため歩いたりジョギングする方を重視した▼ブッシュ大統領が日米首脳会談でセグウェイを小泉首相にプレゼントし注目を集めた。ただ、日本では道路交通法で制限され公道では走れず、普及するには至らなかった。観光地やイベント会場などで目にすることはあった気がする▼鳴り物入りで登場したにも関わらず、市場に受け入れられず姿を消した製品は多い。セグウェイのように発売当初は近未来的な魅力が称えられても、市場に普及しないまま時が経てば時代遅れに化してしまう▼多額の資金を投入して開発した製品であろうと、市場に受け入れられなければ意味がない。マーケティングの大切さを痛感する事例だ。ましてやニューノーマルが叫ばれる現在は、さらに難しい判断が求められてくる。(20・7・2)

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