石油化学工業協会の森川宏平会長(昭和電工社長)は21日、新型コロナウイルスの影響による石油化学製品の需要動向について「容器・包材、医療・ヘルスケア関連分野で堅調さがみられるが、国内自動車生産の本格的な減産が実施されるなど、工業分野ではさらなる低下が見込まれる」とのコメントを発表した。新型コロナの影響で石化製品の需要は厳しい状況が続くとの見方を示した。

 本来は主要な石化製品の生産・出荷実績の公表にあわせて21日に隔月開催の定例会見が行われる予定だったが、新型コロナ感染防止の観点から中止となった。森川会長は7月2日に開催予定の定時総会で2年の任期を迎えるため、会長職として最後の定例会見に替えてコメントを発表した。

 森川会長はコメントのなかで、新型コロナの影響で「わが国経済は厳しい局面に直面している」と言及。緊急事態宣言が徐々に解除され、国内経済活動の再開が期待されるとしながら「いぜん、第2波リスクは残るなど、新型コロナとの共存が求められる時期がしばらく続くと予想される」と述べた。

 また、在任中を振り返り、あらゆるモノがネットにつながるIoTや人工知能(AI)など先端技術に関する会員向け勉強会や官民協働の検討に取り組んだこと、安全安定操業の継続や人手不足問題への解決に向けてプラントの定期修理のあり方に関する報告書をまとめたことなどを成果に挙げた。

 米中貿易摩擦の激化、中東情勢など地政学的リスクの顕在化、そして新型コロナのまん延など不確実性を象徴するような出来事も相次いだ。そうした状況下でも「安全で安定した国民生活を支えるためにも、当業界における製品の安定供給は引き続き極めて重要」と締めくくった。

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