ワクチン接種が進み、新型コロナウイルス感染拡大への懸念が薄らいだ2021年。世界経済は回復へと向かい、それとともに石油需要拡大への期待感が高まり、原油価格が上昇、一時1バーレル当たり85ドルを超えた。一方、石油化学を支えるナフサ市況は、原油高を背景に上昇基調が続き一時1トン当たり800ドルを超え、クラックスプレッド(原油との値差)も高水準で推移、国産ナフサ価格も上昇した。ナフサ・石油化学製品の21年動向と22年以降の見通しについて、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)主席エコノミストの野神隆之氏と、アメレックス・エナジー・コム石化原料部長の柳本浩希氏-の2人の専門家に話を聞いた。(山下裕之)

<石油天然ガス・金属鉱物資源機構 野神隆之主席エコノミスト>

 - 2021年の原油動向を振り返って。

 「原油価格は、基本的には上昇傾向で推移した。背景にはワクチン接種の普及とともに感染拡大が沈静化することへの期待が高まり、個人の外出や経済活動が制限緩和され、世界経済が持ち直したことがある。これにともない石油需要が回復して需給引き締まりの期待も高まり、上昇してきた」

 「ただデルタ株の感染拡大で下落する局面もあり、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟国で構成するOPECプラスが8月から日量40万バーレルの増産(減産幅の縮小)を決定したことも原油相場上昇を抑制する要因となった」

 - 原油以外の価格も上昇しました。続きは本紙で

 

<アメレックス・エナジー・コム、柳本浩希石化原料部長>
 - 21年の原油・ナフサ価格をどう分析していますか。

 「ナフサ価格は年初1トン当たり400ドル台で始まり、一時800ドルを超えたが、足下は700ドル台で落ち着いている。原油価格の大幅な上昇が大きな要因だ。原油価格はドバイもブレントも年初の1バーレル50ドル台から一時85ドルを超えたが、足下は75ドル前後となっている。原油価格上昇の背景は、(1)欧米の大型金融緩和と財政出動型の景気浮揚策(2)新型コロナウイルスへの警戒感後退(3)米国景気のV字回復(4)米国の大寒波とハリケーンによる減産(5)OPECプラスの段階的な減産幅の縮小、石油需給の引き締まり(6)石炭、液化天然ガス(LNG)相場の上昇(7)イラン制裁の影響-が挙げられる」

 - ナフサのクラックスプレッド(原油との値差)も拡大しました。続きは本紙で

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