さきごろ開業10周年を迎えた東京スカイツリー。電波塔としての役割を果たすとともに、商業施設を含めた累計来場者が3億人を突破し東京の一大観光スポットの地位を確立した。それだけでなく高所を生かして研究拠点として活用されていることがホームページで紹介されている▼雷の研究を行っているのが電力中央研究所。落雷は年10回程度と都市の平野部に比べて多いためデータを蓄積しやすい。ロゴスキーコイルと呼ばれる測定器で電流波形を計測、電流の大きさ、流れる時間などを分析して建物や送電線の雷対策に役立てる▼防災科学技術研究所は雲を研究している。雲粒の大きさ、個数の観測や雲の素になるエアロゾルの観測を通じてゲリラ豪雨に関する基礎データを取得している。飛行機では難しい連続的な観測が利点▼二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスを観測しているのは国立環境研究所。リアルタイム分析に加えて現場の大気を採取して、つくば市の拠点で成分を分析。CO2濃度と放射性炭素同位体比によって、そのCO2が植物由来なのか、化石燃料由来なのかを推定できる▼コロナ禍で緊急事態宣言が出された際にはCO2濃度の減少が確認された。関東圏という広範囲をカバーするだけでなく、大都市の大気観測を実現しているのは世界的に貴重だそうだ。(22・5・27)

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