地が揺れ、天が荒れ、そしてウイルスに生命を脅かされ、日本列島は踏んだり蹴ったりの状況である。幸い地震による大きな被害はなかったようだが、大雪は各地に被害をもたらした。人命も奪われた。一日や二日で2メートルを超えたりそれに迫る積雪状況というのは、雪国に生まれた自分にとっても未体験ゾーンである▼雪下ろし中に屋根から落ち、命を落とした人もいた。命綱を着けていなかったとの情報もあるが、命綱に考えが及ばないほど切羽詰まった状況にあったのではないか。降り積もる雪の重量で家の中に聞き捨てならない音がしていたのかもしれない▼父と一緒に雪下ろしをしたことがある。自分が十代半ば、父が四十代半ばだった。ふたりとも男であり、年齢的にも足腰はしっかりしている。命綱も着けていた。それでもかなり怖かった。積雪を放置したら家が潰れると思うから、怖くても屋根に上ったのだ。危険を逐次伝えてくれた父の大声が今もよみがえる▼豪雨による水害もほぼ毎年起こっている。かけがえのない命が奪われ、財産を失い、明日に希望を見いだせないでいる人たちもいる。わが国だけでなく世界を立て続けに襲う深刻な異常気象。人類の営為だけが原因ではないかもしれないが、人類に向けられた警告であると、しかと受け止めるべきだろう。(20・12・23)

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

精留塔の最新記事もっと見る