記者になって丸20年が過ぎた。振り返ると、自分が何を書いてきたかよりも、取材先から様々なことを教えていただいたことの方が強く印象に残っている。3人の若い新人記者が入社した。これから色々な人から様々なことを教わるだろう。慣習や伝統に縛られず、果敢にチャレンジしてほしい▼編集局は基本的に「これをしてはいけない」というルールを持たない。もちろん法律や社会通念から外れることは論外だが、取材の範囲や対象など自己裁量権が大きいのが特徴の1つとなっている。企業数が多いこともあるが、近年は他産業との境界線がなくなりつつあることもあり、更に範囲は広がり、大きなチャンスといえる▼人間の脳は「○○してはいけない」と命令されると、○○の部分を意識するようにできている。昔話「鶴の恩返し」で「中を覗いてはいけません」と言われたのに覗いてしまったり、ゴルフで目の前に横たわる池に「入れてはいけない」と意識するほど入れてしまったり▼知らなかった人たちの中で仕事を始めた新人記者は緊張の連続だろう。しかし記者というのは真実を知るため、空気を読まず質問を投げかけるのが武器の1つ。85年間蓄積された伝統的な強みは活用しながら、しかし古い伝統や慣習など関係ない。独創的なアイデアで挑んでほしい。(21・12・6)

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