第一三共の眞鍋淳社長は、このほど開いた2019年度決算説明会で新型コロナウイルスによる事業への影響は、現状「限定的」との見方を示した。収束時期が不透明なことから、今期の業績予想に新型コロナウイルスの影響を織り込むことは見送った。ただ、世界的な活動制限が第2四半期まで続いた場合、「事業収益に300億~500億円のマイナス」が生じるともした。

 現状、同社の工場などは通常稼働を続けており、研究開発などにも支障は生じていない。臨床試験に関しては新規案件では患者登録などに「一部で進捗に遅れ」(高崎渉常務執行役員)はあるが、各試験を継続している状態。「総じて影響はない」(眞鍋社長)との認識だ。

 足元、「若干、鈍化の傾向」(同)があるなどの影響が出ているのが、製品の処方に関してだ。新型コロナウイルス流行にともない、同社の大型製品である新規抗がん剤「エンハーツ」の米国での浸透が鈍くなっているほか、注射剤などで処方に減少傾向が生じている。また、訪日旅客向け需要が少なくなる可能性も高まっている。

 そのため、売上収益で3~5%のマイナス影響が懸念されるとした半面、経費の支出抑制などによって営業利益へのインパクトは軽微となる見込み。感染拡大が長期化した場合の見通しは別途検討しており、判明次第、公表する方針だ。

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