第一三共は31日、開発中の新型コロナウイルスワクチン「DS―5670」を追加接種する臨床試験を開始したと発表した。ファイザー、モデルナ製ワクチンで初回免疫接種(2回接種)した5000人を対象に、両ワクチンを追加接種した場合と同等以上の免疫反応や安全性があるか検証する。まず追加接種用ワクチンとして2022年中の実用化を目指す。初回免疫向けの開発は、オミクロン株の流行で未感染者が減少するなどの影響により開発が遅れる。

 ファイザー、モデルナ製の初回免疫から6カ月以上経過した人を対象に、5670を追加接種した場合の安全性、有効性を確認する。推奨用量を検討するパート1(約500人)と、既承認ワクチンと比較評価するパート2(約4500人)に分けて実施。日本のみで行う。ファイザー、モデルナ製を追加接種した場合と比較し、同等以上の中和活性があるか確認する。この結果をみて承認申請し、追加接種用ワクチンとして22年中の実用化を目指す。

 当初はまず初回免疫向けのワクチンとして22年中に実用化する計画だったが、オミクロン株の流行により遅れる見通しになった。感染増加で未接種者が減少し、医療体制がひっ迫するなど症例登録が難しい状況になった。3月までに未感染・未接種者を対象とする大規模な臨床試験をアフリカなどで始める計画だったが断念し、4~9月中の開始を目指して再検討する。

 日本発のコロナワクチンでは、塩野義製薬も昨年12月から追加接種の臨床試験を実施中。試験デザインは第一三共と同様で、中和抗体価をファイザー製と比較する。症例数は約200人。全症例への接種と有効性の観察期間が終了し、3月初旬には速報結果を発表する予定。同社は今年度中のワクチン実用化を目指しており、承認申請に向けた医薬品医療機器総合機構(PMDA)との事前評価相談を2月に始める。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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