厚生労働省は3つ目の新型コロナウイルス感染症の治療薬を承認するかどうかを判断する薬食審医薬品第2部会を21日に開く。審議するのは、日本イーライリリーの「オルミエント錠」(一般名・バリシチニブ)で、すでに関節リウマチなどの治療に承認されている薬。コロナ向けには、日本も参加した国際治験で重症患者への有効性が確認され、米国は承認ではないが昨年11月に緊急使用許可(EUA)を出している。

 日本イーライリリーが日本に承認申請したのは昨年12月25日。厚労省担当者によると、最優先で審査を進め、21日の部会の議題に急遽追加した。承認了承された場合、通常は3週間で正式承認する。コロナ向けのため承認を急ぐ可能性もある。

 バリシチニブはJAK阻害剤と呼び、経口薬。「新型コロナウイルス感染症による肺炎」を予定適応症とし、昨年5月にコロナ薬として特例承認したギリアド・サイエンシズの「ベクルリー」(一般名・レムデシビル)と併用する。中等症から重症が治療対象として想定されている。

 米国立衛生研究所(NIH)が主導した重症患者に対するバリシチニブ、レムデシビル併用の治験(ACTT-2試験)は有効性の主要評価項目を達成した。日本イーライリリーによると、ACTT-2をベースに日本で申請した。一方、最近公表された企業治験の結果は、統計学的有意差が認められなかった。日本はどちらも参加。部会が両治験のデータをどう評価するかが注目される。

 新型コロナウイルス感染症の診療の手引きで承認薬として記載しているのはレムデシビルとステロイド薬「デキサメタゾン」の2品。バリシチニブが承認されれば日本で3つ目のコロナ薬となる。

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