米イーライリリーは、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬としてJAK1/2阻害剤「バリシチニブ」の有効性を検証する第3相臨床試験(P3)を開始した。同剤は関節リウマチ治療薬として販売されているが、新型コロナを重症化させる免疫暴走を抑制し、ウイルスの増殖を抑える効果も期待されている。

 対象とするのは、肺炎症状があるが人工呼吸器は必要としない新型コロナ入院患者。欧米や感染が急増している地域で行う。目標症例数は約400例。このほど症例登録を開始した。主要評価項目は、死亡または酸素吸入療法を必要とする患者の割合。過剰な免疫反応による炎症を抑制し、予後改善に効果があるか検証する。

 バリシチニブを新型コロナ治療に転用する可能性は、AI(人工知能)による解析で明らかになった。AIを活用する創薬ベンチャー企業が今年2月、同剤は炎症を抑えるだけでなく、ウイルスが肺組織に侵入・感染するのを阻害する作用もあるとの論文を発表。研究者からも注目され、新型コロナ治療薬「レムデシビル」と併用する医師主導治験が日米などで行われている。

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