米国食品医薬品局(FDA)は、中国・武漢市を発端とする新型コロナウイルス感染の流行により、一部の医薬品について米国での供給不足が生じていることを明らかにした。中国で生産されている医薬品の原薬(API)が不足していることが、製造元の企業から報告された。FDAはこの医薬品とは別に、中国のみで生産されている医薬品(原薬や最終製剤)が約20品目あることも公表。FDAが新型コロナの影響による具体的な医薬品不足について言及したのは初めて。だが対象となる医薬品の名称などは明らかにしていない。
 現地時間2月27日の発表によると、「ある製造業者(1社)」から、新型コロナウイルス感染の影響を受けた拠点で生産していたAPIが不足しているとの報告を受けた。対象となる医薬品はFDAが随時公表している欠品リストに最近追加された医薬品。具体的な製品名や製造企業名などは明らかにしていないが、当該医薬品が不足しても、代替となる医薬品はあるとしている。
 FDAはまた、中国のみから調達されているため、供給リスクの可能性がある医薬品がさらにあることも認めた。製薬企業180社以上に確認した結果、中国のみから調達されているAPIや最終製剤が約20品目あることが判明した。製造企業から現時点で不足しているとの報告は受けておらず、いずれも必須医薬品には該当しないという。
 中国からの供給不足によりAPIなどの価格が上昇し、最終製剤の価格も今後高騰していくとの懸念が米国で広がっている。これを受け、後発薬大手で抗生物質をグローバルに供給している独サンドは2月26日、同社が販売している抗菌剤で、新型肺炎の治療に使われる可能性もある必須医薬品は価格水準を維持する方針を発表した。

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