米疾病対策センター(CDC)の予防接種の諮問委員会(ACIP)と米国食品医薬品局(FDA)は、希少な血栓症が報告されたため接種を中断していた米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の新型コロナウイルスワクチンの安全性について、接種再開を推奨する勧告を出した。血栓リスクなどを評価した結果、「ワクチン接種によるベネフィットがリスクを上回る」と結論づけた。

 J&J製ワクチンは、接種後に脳に血栓ができる静脈洞血栓症(CVST)と血小板減少を併発した症例が6件報告され、米国では安全性評価が完了するまで接種中断が推奨されていた。ACIPとFDAは6例などの症例を精査した結果、ワクチンは「新型コロナ発症予防の有効性と安全性が認められる」と結論づけ、接種再開を勧告した。FDAによると、CVSTを含む血小板減少をともなう血栓症候群(TTS)は、23日までに米国で15例報告されているが、全体の頻度としては極めてまれだと判断した。

 J&J製ワクチンの接種は再開されるが、供給不足の問題は続くもよう。主な製造委託先である米エマージェント・バイオソリューションズの工場で製造上の問題が発覚し、FDAが同工場での製造中止を命じた。製造エリアが不衛生で、十分な製造知識がない人材が配置されていた。エマージェントはアストラゼネカ(AZ)製のワクチンも受託していたが、J&J製の製造に誤ってAZ製の原料が混入したため、約1500万回分のワクチンを廃棄したことも報じられている。

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