新型コロナウイルスの感染拡大が、米国の製薬業界にも影響を与え始めている。多くの製薬企業が拠点を置くマサチューセッツ州では、米バイオジェンの従業員30人超の感染が判明。いずれも2月末に同州ボストンで開催した社内イベントの関係者で、日本からの参加者もいた。米国でも在宅勤務や出張禁止などの動きが広がり、学術総会などの開催中止も出始めている。
 マサチューセッツ州保健局の発表によると、今月9日までに同州で新型コロナウイルスに対する陽性反応(暫定を含む)が報告されたのは計41例で、うち32例はバイオジェンが開催した社内会議の関係者だった。バイオジェンは会議出席者や呼吸器関連の症状がある社員に対し、保健当局の検査を受け、同居する家族らとも距離を置いて過ごすことを求めている。
 同社は2月26、27日、ボストン市内のホテルで社内会議を開催。役員クラスを含む約175人の社員が国内外から出席し、日本からも複数名が出席した。この出席者の一部が、3月2~4日に投資銀行が同市内で開催したヘルスケア・カンファレンスに参加していたことも判明。このカンファレンスには300社以上の企業・機関が参加していた。
 ボストンは多くの製薬企業が拠点を構えている。武田薬品工業は同社グループで最大規模の拠点を置いており、研究開発や販売など数千人規模の社員が所属。同社は在宅勤務のほか国内外の出張、大規模イベントへの参加などを5月末まで禁止している。米ブリストル・マイヤーズ スクイブ、米アムジェン、仏サノフィなどの欧米各社も在宅勤務や出張禁止などの感染回避策を実施し始めた。
 米国でも大規模イベントの開催自粛が増えており、今月末に開催予定だった米国心臓学会議(ACC)や投資家向け説明会などの開催中止が発表されている。

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