米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)は12日(現地時間)、新型コロナウイルスワクチンの臨床試験をすべて中断したと発表した。6万例規模の第3相臨床試験(P3)などを各国で実施していたが、原因不明の症状が報告されたため。日本で行っていた試験も中断。ワクチン接種との因果関係などを確認した上で、試験再開を判断する。後期開発段階でコロナワクチンの臨床試験が一時中断されるのは、英アストラゼネカ(AZ)に続き少なくとも2つ目。

 J&Jは、「被験者の原因不明の病気のため、投与を一時的に停止した」として、すべての臨床試験を中断したことを明らかにした。独立したデータ安全性モニタリング委員会と社内の担当医師が詳細を調査し、ワクチンと因果関係がある有害事象か確認する。

 J&Jは9月後半から米国などでP3を実施していた。目標症例数は最大6万例で、コロナワクチンの臨床試験としては世界最多の規模。年内にもP3の速報結果が判明し、年明け頃にも緊急使用許可などによる供給が可能としていたが、ずれ込む可能性が出てきた。日本の医薬品部門であるヤンセンファーマ日本法人によると、日本でも13日付(日本時間)で試験を中断。すべての被験者に対する接種を見合わせる。日本では250例規模のP1を実施していた。

 副作用が疑われる症例が報告され、臨床試験が中断されることは珍しくはない。AZのコロナワクチンも先月、P3で原因不明の症状が報告されたため、すべての臨床試験を自主的に中断。英国などでは翌週に再開したが、米国は保留状態が続いている。

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