新型コロナ、地球環境、国際分断やイデオロギー対立。日本経済団体連合会(経団連)会長に就任した十倉雅和氏は世界が抱えるこうした試練に「社会的な視座を持って行動する必要がある」と強調する。2050年のカーボンニュートラル実現へ待ったなしのグリーントランスフォーメーション(GX)は「孫の世代以降の2100年も見据えたい。革新技術を通じて国際貢献することが、日本の生きる道だ」と説く。(インタビュー詳細は10月11日発行の「創立85周年記念特集」に紹介します)

◇…世界が抱える課題をどう見ていますか。

 「3つあり、1つ目は『格差の拡大』と『生態系の崩壊』。格差は世代を超えて再生産され、人間活動の領域が拡大した結果、野生動物を媒介に新型コロナが引き起こされた。地球環境は後戻りが難しい。資本主義は適度な競争とイノベーションを促し、効率的な資源配分を可能にするが、万能ではない。ESG(環境、社会、企業統治)やSDGs(持続可能な開発目標)を唱えるだけでなく、社会的な視座を持って行動しなければならない。経団連はサステナブルな資本主義の確立をめざす」

 「2つ目は政治と経済の距離が縮まって激しく連動し、『経済安全保障問題』に発展しやすい。一国主義やポピュリズムに次いで現在は、民主主義と専制主義が対立している」

 「皮肉なことに、いまほど『国際協調』が問われている時はない。これが3つ目だ。デジタル技術やゲノム技術といった非常に有効な科学の力を、人類・社会の幸福のために、マルチラテラリズム(多国間主義)を駆使し、活用することが求められる」

◇…日本の課題は。続きは本紙で

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