新人の頃、給料日は早く帰らないと翌日後悔することが多々あった。現金の入った封筒を持ったまま飲みにいけば気が大きくなり、薄給が、さらに薄くなる始末に。給与現金払いは働いた実感が得られた一方、危険が付きまとった。ボーナスともなると危険度はさらに増した▼銀行振り込みに変わって支給日当日の危険度は減ったものの、今度は実感が湧かないと嘆く人も回りにはいた。確かに紙切れ1枚、分厚いも薄いもその点は平等だが、安全の代償は余りにも寂しいものだと感じた。それにもいずれは慣れて、今度は世帯を持つと実感どころか現物を見る機会がさらに減ったことは言うまでもない▼スマホ決済やプリペイドカード、電子マネーなどで支払えるデジタル払いが政府内で議論されており、早ければ今春にも解禁される見込みという。確かに副業や非正規労働など働き方が多様化するなか、給料の支払い方も多様になっていい。とくに銀行口座開設に手間がかかる外国人労働者には便利なのだろう▼コロナ禍による業績悪化を受けて、従業員の副業を認める企業は増えているそうである。ステークホルダーである従業員の生活を守るのは企業の義務だが、会社頼りだけでは先が見通せない状況の人もいる。何でも買えるウルトラスーパーペイでもあれば別なのだが。(20・2・4)

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