1都3県への緊急事態宣言の発令を受け、化学企業が相次ぎ対応方針を打ち出している。在宅勤務の徹底、出張や会食の原則禁止など、これまでの感染防止対策のレベルを引き上げる内容。出社率はおおむね3割以下となるもようだ。昨年末からの爆発的な感染拡大は予断を許さない状況だが、「工場の稼働は十分な感染防止対策をとった上で通常通り」(旭化成)とするなど、万全の対策を講じた上で事業活動を継続、基幹産業として責務を果たしていく構え。

 昨年4月の緊急事態宣言発令に前後して、各社は在宅勤務・テレワークの拡大、出張の見合わせなど新型コロナウイルス感染拡大に対する対策を強化。5月に緊急事態宣言が全面解除されて以降は、感染状況に応じ段階的に出社比率を上げたり、部門長などの承認を前提に出張を認めるなど対策のレベルを緩和した企業もあるが、テレワークの推進、出張や対面での会議の制限など、緊急事態宣言期間に取り組んできた対策を継続してきた。

 今回の1都3県への緊急事態再発令を受け、多くの企業が挙げるのが、在宅勤務・テレワークの再徹底。三菱ケミカルホールディングスは出社率20%以下を継続し、住友化学は東京本社勤務者を可能な限り在宅勤務にする。「在宅勤務率は7割以上に高まる見通し」(住友化学)。三井化学、旭化成はそれぞれ出社率を従来の50%から30%へと、積水化学工業とAGCは50%以下を20%以下に抑える。テレワーク率を段階的に40%にまで引き下げたデンカは、昨年末の感染者数の増加にともない60%に引き上げ、7日に再度80%に戻した。

 関西に本社を置く企業も対応を強化しており、三洋化成は1都3県にある拠点については原則在宅勤務とし、東洋紡は東京の出社率目標を2割に設定した。また、日本ペイントホールディングスはグループ各社の出社率を20%程度に強化し、大阪有機化学工業は大阪、東京とも従来5割程度の在宅勤務比率を7割まで引き上げる予定。

 東京本社および首都圏のグループ企業からの他事業所などへの出張を全面的に原則禁止としたダイセルをはじめ、ほとんどの企業が1都3県と発着点とする出張を原則的に禁止する。来客対応や、これまで人数を制限して認めていた会食も原則禁止される。三井化学は1都3県における社内外の会食は「禁止」と一段と厳しい措置をとる。

 一方、製造拠点については万全の対策を期した上で安定操業を維持する。工場については、今回の緊急事態宣言前から来訪者の入場を厳しく制限する企業が多い。三井化学は引き続き厳しく入場制限するとともに、工場の交代勤務者同士が交代時に接触せず引き継ぎできる取り組みを進めている。AGCは各部門で通常業務を支障なく遂行する人数を設定し、東海カーボンは湘南工場において打ち合わせスペースを活用した執務スペースの拡大を検討するという。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

新型コロナウイルスの最新記事もっと見る