職場では確実に上から数えた方が早いベテラン社員。だが、人生100年時代と考えれば、まだ折り返し点を過ぎて間もない。いつまでが若者なのか、その基準をどこに置けばいいことか考えさせられる▼2020年国勢調査の人口速報集計によると、5年前の前回調査より人口が増えたのは9都府県のみ。出生率低下で人口自体が減っているなか、東京都は4・1%増加した。神奈川、埼玉、千葉を含む東京圏が全国の約3割を占め、人口集中がさらに進んでいる▼一方、人口が減少した市町村は1416で全体の8割超を占めた。そのうち半数以上が5%以上減少した。1世帯当たりの人員は全ての都道府県で減っており、単身の高齢者世帯増など日本の現状が映し出された格好だ▼過疎化傾向にある地方では、進学や就職で都会に出て行く若者を中心に人口が減っている。そうなると日本の大きな課題である少子高齢化は地方の方がすでに顕著であり、わが国の将来を如実に表しているといえよう▼会社で年寄りでも、田舎ではまだ若者の位置付け。それに疑問を感じない年齢構成だ。そうは言っても体力的に若返るわけではない。気の持ちようだと言わんばかりか、そんな期待も感じる。人生に老いも若いもない。高齢者の未成年の次は、後期高齢の新米、まだまだ若僧である。(21・7・8)

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