英アストラゼネカ(AZ)が、新型コロナウイルス感染症治療薬「AZD7442」の臨床試験を日本で開始した。コロナ回復者から抽出した抗体2種類をベースとする抗体療法。血中半減期が長いのが特徴で、最大1年間の予防効果も期待されている。健康成人を対象とする国内第1相臨床試験(P1)と、非入院患者を対象とする国際P3をそれぞれ始めた。日本でコロナ患者に対する抗体療法の臨床試験が行われるのは初めてとみられる。

 AZD7442は、コロナ感染者の回復期血漿から抽出した中和抗体2種類を使った治療薬。米国の大学病院からAZが導入し、血中半減期を長くした長期間作用型抗体(LAAB)として最適化した。6~12カ月は体内に残るのが特徴で、治療薬、予防薬の両方で開発が進められている。海外では合計9000例以上を登録したP2、3が複数進行中だ。

 日本では、健康成人に対する国内P1と、コロナ患者に対する国際P3の症例登録をそれぞれ開始した。治験登録情報によると、国内P1は、18~55歳の健康成人を組み入れ、安全性や忍容性などを評価する。国際P3は、入院していない軽症~中等症の患者(18歳以上)を対象に有効性も評価。AZD7442を単回投与した後の重症化、死亡の予防効果について、プラセボ投与と比較する。全世界で約1700例登録する予定。

 回復期血漿由来のコロナ抗体療法は、米イーライリリー、米リジェネロン・ファーマシューティカルズ、英グラクソ・スミスクライン(GSK)なども開発している。日本向けの開発は各社で検討されているもようだが、臨床試験の開始が明らかになったのはAZが初めて。

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