英国政府は、中外製薬が創製した抗体医薬「アクテムラ」、米リジェネロン・ファーマシューティカルズと仏サノフィが開発した同「ケブザラ」について、新型コロナウイルス感染症に対する治療薬として推奨することを決めた。両剤は関節リウマチなどの治療薬として使われているが、コロナ患者の重症化を抑制する効果も期待されている。企業治験では有効性を確認できなかったが、英大学などの臨床試験では有効性を示すデータが出たことから臨床応用が認められた。

 英国民保健サービス(NHS)で推奨するコロナ治療薬として、集中治療室(ICU)に入院した重症患者に対し使われる。推奨の根拠としたのは、政府系機関が支援した大学主導の臨床試験。集中治療室に入院したコロナ患者に両剤のどちらかを投与したところ、入院日数を7~10日短縮し、死亡リスクを24%低下させる結果を得た。

 両剤は、炎症を引き起こすサイトカイン「IL-6」を抑制する抗体医薬。コロナ患者の重症肺炎を引き起こす免疫暴走に対しても効果が期待されている。これまで企業主導の臨床試験も行われたが、重症患者に対する有効性は証明できていない。リジェネロンはケブザラのコロナ適応の開発を中止している。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る