欧州医薬品審査庁(EMA)と英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は7日、英アストラゼネカ(AZ)の新型コロナウイルスワクチンについて、血小板の減少をともなう希少な血栓症を引き起こす可能性があるとの調査結果を発表した。EMAは引き続きすべての年齢層に対する接種を推奨する方針だが、英国政府は30歳未満に対する接種は推奨しないことを決めた。

 欧州では3月、AZ製ワクチンの接種後に血栓を発症した報告が少数ながら相次いだ。EMAとMHRAは調査の結果、一般的な血栓イベントとワクチンの因果関係はないと結論づけたが、60歳未満の女性を中心に、脳に血栓ができる静脈洞血栓症(CVST)などが報告され、死亡例があった。さらに調査した結果、血小板減少をともなうCVSTなどの血栓症は、AZ製ワクチンと因果関係があり、同ワクチンの副作用として認定した。

 英国では、3月末までにAZ製ワクチンが2020万回分接種され、79例の血栓イベントが報告された。このうち44例が血小板減少をともなうCVSTで、35例がそれ以外の血栓症だった。死亡した19例のうち11例が50歳以下、14例がCVSTだった。調査結果を受けて英国政府は7日、30歳未満にはAZ製ワクチンを推奨しない方針を決定。他社のワクチンで接種を受けるよう呼びかけている。同国で行われていた青年対象の臨床試験も中断された。

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