英アストラゼネカ(AZ)が、新型コロナウイルスワクチンの臨床試験を中断した。英国の臨床試験で重篤な副反応が疑われる症例が報告されたため。同社は安全性を確認できるまですべての試験再開を見合わせる。同社のコロナワクチンは年内にも米国などで供給開始する目標を掲げているものの、遅れる可能性も出てきた。日本でも先ごろ臨床試験を開始していた。

 海外報道によると、英国で実施していた臨床試験で、重篤な副作用が疑われる症例が報告されたため、臨床試験を中断した。報道を受けて英AZは、「通常のレビュープロセスの一環で発動したもので、独立委員会による安全性データの評価を実施するため、ワクチン接種を一時中断している」「原因不明の症状がある場合は必ず行われる措置」とのコメントを発表。薬事当局による指示ではなく、同社の自主的な判断という。英国だけでなく、米国や日本など各国の臨床試験を中断した模様。

 7月に発表した英国P1/2の中間結果では、被験者約1000人のうち重篤な有害事象は報告されなかった。注射部位の痛みや頭痛、発熱、倦怠感などが副反応として報告されたが、いずれも一時的・一般的な反応だと評価していた。

 英米などで5万例規模のP3が行われ、今秋にも速報結果が出て緊急承認される可能性があったが、遅れる可能性が出てきた。

 日本でも先月末にP1/2を開始したところで、来年3月までに、まず3000万回分を供給することになっている。

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