英アストラゼネカ(AZ)は、新型コロナウイルスワクチン「AZD1222」の臨床試験を米国で再開したと発表した。第3相臨床試験(P3)で原因不明の症状が報告されたため、9月に全世界で治験を中断。英国ではすぐに再開したが、米国では再開まで1カ月半余りかかった。同様の経緯ですべての治験を中断している米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)も、近く米国で再開することを発表した。

 英国のP3に参加した症例で原因不明の症状が報告されたため、AZは9月6日、全世界の臨床試験を自主的に中断。英国などでは9月中旬以降、日本では今月1日に治験を再開したが、米国は保留状態が続いていた。国内外のすべての臨床試験で得られた安全性データを米国食品医薬品局(FDA)などが審査し、23日付で再開が認められた。米国治験では1カ月半以上の空白期間が生じたが、AZは年内にもP3の速報結果を出し、薬事手続きを開始できると見込む。欧州では段階的な承認審査が始まっている。

 J&Jのコロナワクチンも、米国治験の再開に向けて動き出した。同社のワクチンも原因不明の症状が報告され、今月12日から全世界で治験を中断している。独立データ安全性・モニタリング委員会(DSMB)から試験の再開が推奨されたことを受け、近く米国の治験を再開する。有害事象が疑われた症例について明確な原因は特定できなかったが、ワクチンとの因果関係を示す証拠はなかったという。

 ほかの国・地域の治験も、再開に向けて各国当局と協議中。国内P1を行っていた日本も医薬品医療機器総合機構(PMDA)などと協議しており、「当局との合意が得られ次第、再開する」(ヤンセンファーマ日本法人)という。続きは本紙で

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

ライフイノベーションの最新記事もっと見る