新聞用紙や印刷用紙は今後も需要が減少していくとの見通しのもと、日本製紙が釧路工場の生産を8月で終了、先週、設備を閉鎖した。前身の工場を含めて100年以上の歴史があり、基幹産業として同市の経済を支えた▼日本製紙連合会のホームページ(HP)では、「グラフィック用紙を中心に、人口減少、少子化、ICT化の構造的な要因により減少を続けている」と需要動向を分析している。さらにコロナ感染拡大が内需に大きな影響を与えた▼紙の減少は言うまでもなく、紙に情報を印刷する新聞の部数減少などが大きな要因だ。日本新聞協会HP掲載のデータによると、1世帯当たりの発行部数は2000年の1・13から20年には0・61までほぼ半減している▼「新聞を読むか読まないか」については各種調査があるが、日本財団による18歳意識調査によると、読まない人が18年から19年までの1年で15ポイントも増加している。この世代やそれ以下の世代が、社会の中心層になっていくことを考えると、紙の新聞は先細りを避けられそうにない▼ならば活路は電子版ということになる。とはいえ、刷り上がってきたインクにおいたつ新聞を手に取り、広げて「これがきょうの俺たちの仕事だ」と感じていた充実感がなくなっていくのは、紙世代としてはやはりさびしい。(21・10・6)

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