執筆担当の1人になった。数々のベテラン先輩記者が執筆してきたのを知っている。身に余る光栄だが、なかなか何を書くべきか思いつかない▼1998年4月に入社し、記者生活20年余り。最初は整理記者からスタートし、現場に出てからさまざまな記事を書いてきたつもりだが、振り返ると自分が何を書いてきたかより、色々な人から色々なことを教えてもらったことの方が鮮明に覚えている。とくに現場に出て間もなく、上司から「聞いたらすぐ書け」「本当の取材は昼ではなく夜だぞ」と教えられ、その通り、夜に聞いたことをすぐ書いたら、取材先からこっぴどく叱られたことは忘れない▼シンガポールとバンコクにも駐在した。当時は会社の規定にない家族帯同で赴任し、英語が苦手な女房と小さい娘を連れて行った。最初は嫌がっていた女房だが、帰国する頃には後ろ髪を引かれていた。娘も英語好きに成長してくれた。会社には感謝しかない▼今年、4人の新人記者が入社した。全員20代の若者だ。彼らもこれから色々な人から色々なことを教わるだろう。記者は素晴らしい職業だとつくづく思う。彼らに伝えたいことは「世界中の色々な人と会い、成功も失敗も色々経験してほしい」に尽きる。ただ、取材先からこっぴどく叱られるのは少ない方がいい(20・6・22)

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

精留塔の最新記事もっと見る