子供の頃、人はたいてい大人になって成功したいと思う。しかし成功とは何か、どのような状態なのだろうか。お金持ちになって、欲しいものを手に入れることが成功なのだろうか。たぶん、たいていはそう思いながら育つ。しかしそれは、人の自然の欲求なのだろうか。それとも刷り込まれた何かだろうか▼成功するには知識が必要で、知識を身につける勤勉さが必須だと教えられる。したがって、人の何倍もの勤勉さをもって、効率良くお金持ちになるための知識を頭に詰め込もうとする。知識を得るために、本を読み人に話を聞く。そして、ひとり深く考える。そこで迷わない人は良いのだが、たいていの人は迷路に入る。いったい何が真実なのか。本当に必要なことは何なのか。迷うほどに、効率良くお金持ちになろうという考えは消えていく▼要領よく成功したいとは思わない。しかし、社会に貢献する何かを生みだしたい。あるいは、そういう人が集まる会社で働きたい。日本の製造業で働く人の多くは、そうした志を胸に会社の門を叩いたに違いない▼世の中はどうやら、迷わなかった人達が作るお金儲けの仕組みが幅を利かせている。それはそれで何かの役に立つ。しかし、本当に必要な価値はそこにはない。迷った人たちが生み出す価値こそが人類を救うと信じている。(20・7・7)

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