世の中には途中で止められない一連の処理や仕事、というものがある。例えばモノを売って代金をもらい、お釣りを渡すという一連の流れは、どこか途中の段階で中断するとかなり不都合だ。散髪もそうだ。今日は右側だけで、などと未完で止められては大変困る。ひとたび始めたならば最後までやり切らねばならぬことは案外多い▼乗りかかった舟、というのもある。もともと必要だったかは別にして、やり始めてみたら引き返せなくなるという経験は少なくない。後悔や反省が待っていることも、思わぬ経験や宝を手に入れることもある。勢いがついて途中で止められなくなる様を表すことわざに「騎虎(きこ)の勢い」がある▼隋の初代皇帝である文帝は、建国に挑むとき妻の独孤伽羅(どっこから)からこう言われた。「虎に乗って走り出したらもう降りることはできません(降りると食べられてしまうので)。だから頑張ってください」。ことわざの由来となった故事である。聖徳太子の「日出る処(ところ)の天子~」の手紙に激怒したという煬帝は、2人の息子だ▼行きつけのゴルフ練習場。自動で次の玉が出てくる。とても便利だ。チャージしたカードの残高が尽きるまで延々と出てくる。誰か止めてください。ちなみに新聞の定期購読も途中で止められません。念のため。(22・5・24)

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