お酒が出なくても焼きたての焼き鳥は食べたい。週末になると時短営業、酒類提供中止を余儀なくされている居酒屋に出かける。つまみの友はもっぱらノンアルコールビール。大手4社の製品を揃えて飲み比べを提案するなど、売り上げを増やすため工夫を凝らす店もある▼ノンアルビールと一口に言っても製造法はいろいろあるらしい。海外では一度ビールを仕込んで蒸留、膜分離などでアルコールを取り除いたり、途中で発酵を止めたりする手法が採用されている。日本ではコストの兼ね合いもあって発酵させずに作るのが主流のようだ▼ノンアルビール市場(アルコール度数1%未満)は成長が期待されている。調査会社によると、今年の市場規模を前年比6・7%増の775億円と予測。運動不足なので糖質を制限したいとか、家庭での飲酒量を気にしているとか理由はさまざまだが、コロナ禍が需要拡大のきっかけになった▼各社が商品開発に力を入れてきた結果、選択肢も増えている。原料にこだわったり、尿酸値を下げるなど機能性をアピールしたり。海外のように蒸留によってアルコールを除去する「微アルコール」製品も登場した▼味は確かに進化しているようだが、左党にとってはやはり物足りなさを感じる。正々堂々と「とりあえず生ビール」と注文できる日が待ち遠しい。(21・6・11)

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