梅の花がほころぶ頃。暖冬の中にも確実に春が感じられる。「梅は百花の魁」であり、その年のあらゆる花の先頭を切って春を告げてくれる。今は桜が当たり前の花見も奈良時代には梅を指し、昔から日本人に愛されてきた▼梅の花言葉には、桜に負けずとも劣らない華やかさと美しさ、高潔さのほか、忍耐強さという意味が込められている。冬の一番寒い頃に花を咲かせるために、ひたすらその時を待ち続けることからきている▼ただ、梅の木を伸ばしっぱなしにすると病気になりやすく、害虫も大量に発生するという。手入れをしないと翌年に美しい花を咲かせることができない。成長が早く、切り口もすぐに回復し樹形を保つという梅のたくましさも感じる▼広がりをみせる新型コロナウイルスの影響は予想がつかない。発表を終えた企業の決算内容をみても、影響を見通せず織り込んでいないところが大半。影響額を提示した企業も、その算出には苦慮している。終息が予想される時期もまちまちで、企業は難しい対応を迫られる▼梅の花言葉には、雪の降り積もる中で凛として咲き誇り、厳しさに負けない美しさという意味もある。逆境に耐え忍び、できる最善の策をひたすら実行すれば、自然とその先には明るい未来が見えてくる。閉塞感が漂う中にあって、梅の花に習いたい。(20・2・20)

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