天気予報によると日本列島は当面、厳しい暑さが続きそう。あさって8月7日は早くも立秋で、秋に向かって季節が変わっていく日を意味するようだが、そのようなことは期待できそうもない。せめて35度以上の猛暑日は勘弁してほしい▼日本人は五感を使って涼を取ることを得意としてきた。例えば風鈴。チリンチリンという音で涼しく感じるのは日本人だけとの説がある。風が吹けば涼しく感じるのは当然だが、自分で鳴らしても涼しく感じるのは何故か。それは音を聞いて涼しく感じるような条件反射を身につけているためという▼打ち水は気化熱により地面にこもっていた熱が大気中に発散していくので行為自体が理にかなっている。それだけでなく水に触れたり、水に濡れている所を目にすることで涼しさを感じる効果があるようだ▼化学の分野で夏に活躍するのは接触冷感素材。キュプラなどの化学繊維が知られるが、生地をより薄くして着用感を軽減したり、糸の断面形状を変えて放熱性を高めたり各社がさまざまな工夫を凝らしている▼先週、本紙では1面で「五感×化学」と題する連載を掲載した。匂い、音など不確かな人の感覚を数値化して製品開発やマーケティングに生かそうという取り組みだ。感性価値を取り入れて酷暑を涼しく乗り切る新たな冷感素材を期待したい。(22・8・5)

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