量子コンピューター業界が戦国時代を迎えている。後発の米ハネウェルは量子ソフト大手の英ケンブリッジ・クオンタム・コンピューティング(CQ)との経営統合を決め、先行する米IBMに迫りつつある。しかし、現在の量子コンピューターは、「スーパーコンピューターに勝てるテーマが見当たらない」(東北大学大学院情報科学研究科の大関真之教授、大阪大学基礎工学研究科の藤井啓祐教授)のが実情であり、米中で発表された「量子超越」も非実用的な問題を解いたものだ。真の量子コンピューター時代が訪れるのは2050年頃とみられる。一方でソフト開発はハードの進展を見越して進んでおり、その代表例が量子化学計算である。日本は量子イノベーションイニシアティブ協議会(QII)を昨年発足したのに続き、今夏には量子技術による新産業創出協議会が発足予定だが、両組織には量子化学計算とマテリアルズ・インフォマティクス(MI)に注力するJSRと三菱ケミカルが中核メンバーとして名を連ねる。政府の成長戦略でも量子コンピューターは半導体と並ぶ目玉の一つ、素材産業とのかかわりは深まるばかりだ。(広木功)続きは本紙で

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