ウサギは油断して昼寝をし、カメはコツコツと進んでウサギを追い抜きゴールした。有名なイソップ童話だ。油断大敵という教訓がピッタリだと思っていたが、こんな解釈もある。ウサギが負けた理由は寝たからではなく、カメを見ていたから。一方のカメはひたすらゴールだけを見て登り続けた。周りばかりを気にした人生は思い描く結果には辿り着かない▼ツルと並びカメは寿命が長い代表だ。そのカメは老化とほとんど無縁なことをデンマーク南部大学の研究者らが発表した。世界中の動物園の膨大な情報を元にした研究で、カメは長生きするだけでなく老化が遅く、さらに老化が止まったり逆行するケースもあったそうだ▼200歳ぐらいまで生きるゾウガメもいるようだが、上には上が。北大西洋に生息するアイスランドガイは507年、北極海や北大西洋の深海に生息するニシオンデンザメも最も長く見積もって512年の寿命という。さらに無脊椎動物の中には1万年以上や理論上不老不死、また若返りによって寿命を免れるベニクラゲの一種も理論上は不老不死だ▼これらも自然環境の中にあっては捕食などの要因で死ぬ確率は高い。この先、何があるかは分からない。カメの如く脇目もふらずひたすら目標に向かいたいが、長い人生、ゴールを定めるのはなかなか難しい。(22・7・27)

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