国は地熱発電の開発を積極的に進め、2030年度には現在の3倍150万キロワットを目指すという。国立公園内などに適地を見つける調査を本格化する。この時点で国の総発電量に占める比率は1%。ちなみに現在はわずか0・3%▼わが家のエネルギー事情にあてはめてみると1%はこんな感じ。真夏、1日20時間つけているエアコン、1%は12分。6時間見ているテレビ、1%は3・6分。このわずかな間、地熱発電によって電気を供給されているイメージだ▼12分なら実感できる時間ではあろうが、3・6分はあったかどうかわからないくらいか。ちなみに0・3%のままだと、エアコン3・6分、テレビ1・08分。一瞬と言ってよいだろう▼日本はアメリカ、インドネシアに次いで世界第3位の地熱資源量を持つ地熱大国。ところが、発電設備容量でみると、15年にケニアに抜かれ世界10位に後退した。開発が進んでいないのが数字に表れている。1%をまずは目指すにしても、もっと上を目指しての一里塚ととらえたい。もちろん環境への影響はしっかりと調査しながら、が前提だ▼ちなみにアイスランドは地熱で電力の30%をまかなっている。エアコンは先ほどの例でいえば6時間。まあ、北極圏に近いこの国が、夏にこんなエネルギー消費をすることはないだろうが。(21・8・30)

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