政府は2050年のカーボンニュートラル実現に向け、グリーン成長戦略を策定した。そのなかで2兆円の基金を造成し、グリーン化に資するイノベーションの社会実装を加速させると同時に、グリーン化に向けた移行期に必要な技術に対して資金供給するトランジション・ファイナンスを活発化させる方針を打ち出した。早稲田大学理工学術院先進理工学部の関根泰教授は第一線で活躍する触媒化学研究者だが、同基金の基本方針および具体的なプロジェクト計画の策定に関与する有識者会合や、トランジション・ファイナンス推進のためのロードマップ策定検討会のメンバーを務める。「脱炭素化」の流れが世界的に加速するなか、関根教授に日本の産業、とりわけ自動車産業と化学産業が進むべき方向性について考えを聞いた。

▼…脱炭素化の流れ、とくに米国の動向は。

 「トランプ政権下では、地球温暖化や気候変動に関する規制や政策はほとんど実施されなかった。バイデン政権の誕生により、クリーンエネルギーを優先する方向にシフトしている」

 「バイデン大統領は中道的な立場で、資源国でありながらパリ協定を遵守するというバランスの良い考え方を持っている。ただ、政権の支持基盤の一つである左派の人たちは、やはりグリーンな経済活動でなければならないというタクソノミー的な考え方の人たちが多い印象だ」

 「昨年末にバイデン政権移行チームが発足し、クリーンエネルギー政策を打ち出した。日本も菅首相が50年カーボンニュートラルを宣言し、経済産業省を中心にグリーン成長戦略を発表した。そこで経産省とバイデン政権移行チームで環境・エネルギー分野で日本と米国が協力できることはないかと話し合うため非公式な会合を持った。私もメンバーとして参加した」

▼…日米で協力できることはありましたか。続きは本紙で

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