関西ペイントが、コロナ禍の最前線で戦う医療従事者を守る製品の提案を積極化している。医療機関向け製品を手がけるセントラルユニ(東京都千代田区、河村将之社長)が展開する医療機関向けの組み立て式隔離ユニットに、関ペの抗ウイルス対策製品が採用された。また、医療用ベッドに設置する囲いに、漆喰塗料をコーティングし抗ウイルス機能を付与した製品も上市する予定だ。

 セントラルユニが感染対策に提案している「簡易隔離ユニット」は特殊な段ボールを使用しており、軽量で組み立ても簡単にできる。内壁には関ペの「接触感染対策シート」を貼り付けることで抗ウイルス対策を施した。同製品の強みは、設置から解体、焼却まで簡単にできるため、一時的な隔離病床になること。院内感染防止に役立つため、医療機関などで多くの引き合いがきているという。

 接触感染対策シートは2020年3月に発売された同社のヒット商品。漆喰塗料を不織布にコーティングしており、簡単に施工でき貼り替えも容易。主な用途はドアノブ・手すりなどへの貼り付けだが、医療現場をはじめ適用拡大が予想される。

 関ぺ単体でも医療機関にアプローチする。現在、医療用ベッドには飛沫防止用途でアクリル板などによる囲いを設置。施術終了後、患者ごとに囲いを外し、消毒、再設置などの作業が現場の負担増につながっていた。同社では抗ウイルスコーティングを施した段ボール製の囲いを開発。使い切りのため、消毒作業などの負担を大きく軽減することが期待される。

 関ペは長年、「命をつなぐ塗料」をコンセプトに商品開発を行ってきた。建築内装塗料の「アレスシックイ」はその最たる例だ。同シリーズは防蚊性を付与するタイプなど、各国の社会情勢に合わせた製品展開が進められてきた。

 長崎大学との共同研究では、液状型漆喰材料の主成分である消石灰の強アルカリ性がコロナウイルスを約5分で99・9%以上不活性化させることを実証。同材料をコーティングした関連商材で昨年新ブランド「接触感染対策シリーズ」を立ち上げた。同シリーズのテープやシートは引き合いが急増。テレビCM、ウェブCMなど広告宣伝にも力を注ぎ認知度は高まっている。

 同社は抗菌・抗ウイルス関連製品で売上高年間30億円を目標に掲げ製品開発を進めている。今年3月には施設の入り口に設置し、抗ウイルス効果を発揮する玄関マットを上市予定。このほか漆喰材料をコーティングした防災用の段ボール製ベッド、トイレなど幅広い分野での展開を進める方針だ。同社担当者は「接触感染対策にとどまらない新ブランドの立ち上げも視野に入れている」と語り、命を守る塗料メーカーとして歩みを加速させる。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

 

エネルギー・素材の最新記事もっと見る