栃木県足利市の森林火災のニュースが、先週から今週にかけて連日放映された。火災は一昨日鎮圧と発表され、現場周辺の305世帯に出されていた避難勧告も解除された。それにしても発生から鎮圧まで9日。こんなに長く燃えつづけたことは、未曾有のことか、そうではないのか▼林野庁のウェブサイト「日本では山火事はどの位発生しているの?」が知りたい情報を過不足なく伝えている。最近の概数を拾ってみると、1年間に1200件発生、焼損面積は700ヘクタール。1日当たりに換算すると、毎日3件発生、2ヘクタールの森林が焼損。一度も山火事を見たことがない者としては信じがたい数字だ▼2002年以降に発生した住民避難勧告等発令の大規模火事は足利を含めると16件。鎮火までの日数で最大は丸亀市(12年)と釜石市(17年)の火災それぞれ15日、焼損面積で最大はその釜石の413ヘクタール。ちなみに12年は避難勧告発令火災が8件も発生した。足利の火災は避難勧告世帯が最多を更新した。民家の近くで燃えているため実況映像も頻繁に流れたのだろう▼人命へのリスクもさることながら、CO2を吸収する森林が燃え、しかもその燃焼によりCO2を発生する山火事。自然発火もあるが、悲しいかな大半の原因は、たき火やたばこの不始末など人為的な要因だという。(21・3・3)

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