1月、4月、12月。日本ではこのあたりがその月に入ったことを話題にしやすい月だろう。なかでも12月は「きょうから師走」など旧暦の異称で呼ばれることが多い。きょうから睦月、卯月とはほぼ聞かない▼師走の語源には諸説あるらしいが、昔の日本では年末になると、家に僧侶を呼んでお経をあげてもらう風習があり、そのため師(僧侶)が忙しく走り回ることから「師走」となったという説が有力だという▼とはいうものの、今からする話は高校の国語教師が忙しいだろうという話。来年度から、高校での国語が大きく再編される。ごくごく要約していうと、1年生の国語が「現代の国語」と「言語文化」に分かれ、2年次からは「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探求」という4科目が設定される▼かなりの再編だが、これに関して東京学芸大学の准教授で文学研究者の疋田雅昭さんは、文学国語と論理国語の分離は、国語という科目からの実質的な文学排除であるという見解だ。制度的にみれば文学言語も残っているが、教育現場や入試の環境を考えれば実質的な排除であるということだ▼国語教師は忙しいだけでなく、ますます悩ましい職業になるだろう。教えられる側も含めてこの再編がどんな影響を与えるか、長い目で注視していかなければならない。(21・12・1)

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