本紙では先週2日にわたり、ポストコロナに関する主要化学企業の社長アンケート結果を掲載した。10年後の社会はどうなっているのか、その時の自社の姿を社名・氏名記載を条件に問うたところ、予想以上のトップの方に回答いただいた▼緊急事態宣言が解除され再出発を誓った6月中旬の実施であり、コロナ後を見据えた活発な意見が寄せられた。同じ化学産業でも企業によってコロナの影響度合いはさまざまだが、これを機会に今後の市場ニーズに柔軟に対応し、成長を期していくという気持ちは共通する▼2030年の社会は、デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速して高度なデジタル社会を実現、AI(人工知能)が電気やガス、水道のように社会の共通インフラになりつつあるなど、DX、AIの普及を見通す意見が多数。これらの技術を生かした新たなモノづくり企業を目指す姿勢も際立った▼一方、ゴール年となるSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みは当たり前になっている、とも。コロナで企業は体力的に影響を受けたにもかかわらず、社会からは課題解決、環境に優しい製品が当然のように要求される。10年後の企業は、収益を確保しながら、いかに社会と共存共栄できるか。ポストコロナをにらんだ新たな企業像を早期に醸成する必要がある。(20・7・16)

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

精留塔の最新記事もっと見る